炎症とは身体における防御反応です。
例えばウイルスや細菌が侵入して身体の中の免疫細胞が戦っていたり、体に異変が起こって腫れや痛みが生じることを指します。
今回は乾燥肌についてです。
単純に乾燥肌だけなっていても「炎症」という状態は起きるのでしょうか。
その疑問を今回まとめてみました。
乾燥肌で炎症が起きる原因とは?
まず、なぜ腫れたり痛みを伴ったりする「炎症」が起きるのかは、異物や死んでしまった自分の細胞を排除して生体の恒常性を維持しようとするからです。
例えば細菌やウイルスが体の中に侵入し、それらを排除しようと働いた結果が炎症として現れてきます。
お肌の炎症とは
じつは体の一番外側にある肌は、常に外的ストレスにさらされている状態で日々炎症が生じています。
炎症とは端に赤くヒリヒリした肌だけのことではなくて、普段目に見えないところで肌の深部をくすぶるように微弱な炎症が起きているのです。
「肌が乾燥しているから肌トラブルになる」と考えてはいませんか。
実はその逆で「肌が微弱炎症を起こしているから肌が乾燥する」んです。
皆さんはこんな症状に悩まされてはいませんか。
- 肌が乾燥すると肌がかゆくなる
- 化粧品がピリピリとしみる
- 季節の変わり目や体調の変化によって、化粧品が合わない時がある
- 化粧水がなかなか浸透しない
- 背中ニキビが治らなかったり、生理前にニキビができたりする
- 花粉症やぜんそくがある
これらの中で1つでも当てはまるなら、肌が炎症を起こしている可能性が高いです。
炎症が起こっているとどうなる?
炎症が起こっていると、お肌の必須成分であるセラミドやNMFを作り出す働きが弱まります。
お肌の必須成分は3つです。
- 皮脂膜
- 細胞間脂質(セラミドが大半)
- 天然保湿因子(NMF)
NMFの役割は水分を引き付けて細胞の中に貯め込んで、肌の細胞が潤いを保てるような状態にすることです。
こうして水分をくっつけて留まらせることで肌の水分量を維持しながら、肌のバリア機能を働かせているのです。
このような働きをするNMFですが、NMFが存在するのは肌の一番表面にある角質層の細胞だけなのです。
お肌にはターンオーバーという代謝の仕組みがありますが、だんだんと表皮の基底層という一番下の部分から生まれた新しい肌細胞がどんどん肌表面に押し上げられて、最後には垢となって剥がれ落ちるのがターンオーバーです。
このNMFは肌がターンオーバーによって表面に押し上げられていく過程で作られるものなのです。
細胞がどんどん肌の表面に移動していくと、細胞自身が死んでいきます。
しかし、肌の細胞が死んでしまっていたとしても、顆粒層(角質層のすぐ下の層)から角質層に移動する際に「フィラグリン」という成分に分解されていきます。
このフィラグリンが細胞の組織をくっつける働きをしてくれ「角質細胞」となっていくのです。
肌細胞が死んで壊れることで、セラミドやNMFといった潤い成分が放出されるのです。
そうした潤い成分は「分解」されることによって生まれるのですが、乾燥肌の方はこの分解のときに使う酵素が働かなくなるらしいです。
その理由が肌の炎症なのです。
炎症が起こっていると分解する酵素やターンオーバーを邪魔する物質が生まれてしまって、セラミドやNMFが作られなくなってしまうのです。
- ストレスや紫外線などの体の酸化
- 皮膚の常在菌のバランスが崩れることによる悪玉菌の増加
- 自律神経バランスの乱れ
自律神経が乱れているとニキビだったり、肌トラブルが起きやすいと言われていますけど、残念なことにほとんどの方はこの肌内部の炎症に気づかないまま過ごしているのです。
ニキビが炎症をおこしたら!?そんな毛穴ニキビのケアとおすすめ市販薬をご紹介!
炎症が起きた時、どうすればいいの?
では、この炎症を鎮めるにはどうしたら良いのでしょうか。
保冷剤などで冷やす
肌に赤みやかゆみがあるときは炎症が起きている可能性が高いと思ってください。
そうした場合は保冷剤をハンカチでくるんで、気になる患部を冷やしてください。
冷たさが刺激になると思ったら、必ず布などをクッションとして挟んで冷たさを緩和しながら冷やしましょう。
ポイントは温度だけ下げることです。
化粧品で保湿
乾燥肌による炎症の場合、大切なことは水分と油分の補給です。
まず、化粧水を顔全体につけて手のひらでハンドプレスするように浸透させましょう。
水分をしっかり肌の内部へ入れ込む感じです。
肌が手に吸い付くような感触になっていれば、浸透されたサインです。
次に乳液をつけましょう。
これは皮脂膜の代わりとなる大事な油分です。
手で優しく顔全体に伸ばしていきましょう。
これも化粧水と同じ要領で手のひらで押し込んでいきます。
もし、普段使っている化粧品の刺激が強いなら、刺激の少ない製品に換えた方が良いでしょう。
乾燥肌や敏感肌用の刺激の少ない製品があるはずです。
そして、炎症が強い時化粧品がしみて苦痛に感じるなら、バームやオイルを塗るだけでも十分です。
化粧品は肌への刺激や摩擦にならないよう、優しく塗りましょう。
植物エキスというのは数多くありますが、今回は肌の炎症に効果のある物を選んでみました。
これらが含まれているスキンケア用品で肌の炎症が改善されるかもしれません。
【抗炎症作用のある植物エキス】
- カモミール(カミツレ)エキス
- ヘチマエキス
- ローズウォーター
- 甘草エキスなど
先ほど肌の炎症には自律神経が関係していることを述べましたが、自律神経バランスを整える植物エキスもあります。
【自律神経バランスを整える植物エキス】
- ローズウォーター
- ラベンダー
- ゼラニウム
- マンダリンなど
皮膚科を受診する
自力で肌のバリア機能を整えるケアをしていても、肌の赤みが改善されなかったり、かゆみやヒリヒリ感があった場合、湿疹やアトピー性皮膚炎などの肌の疾患を起こしている可能性もあるので速やかに皮膚科を受診しましょう。
皮膚科で薬を処方してくれるはずです。
炎症の原因が明らかになるかもしれませんし、医師による指導も受けられます。
湿疹が起きる原因は乾燥肌!?改善策は皮膚科の薬と一緒にこのスキンケア!
炎症が起きないようにするには
肌の炎症が起きると慌てて冷やしたり、皮膚科へ行くはめになったり、何だかめんどくさいですよね。
できれば炎症なんて起きてほしくない!
では、その炎症を起こさないためにどんな予防ができるのでしょうか。
洗顔
洗顔の役割は汚れを落とすことです。
顔の肌は露出しているため、身近なほこりや車の排気ガス、花粉やタバコの煙など空気中に漂うさまざまな汚れに日々さらされています。
さらに、自身の内側から出る汗や皮脂なども分泌されているため、これらによっても肌は汚れています。
こうした顔の付着物を洗い流すのが洗顔の役割なのです。
肌が汚いままだと雑菌が繁殖したり、皮脂が酸化してしまったりしてしまいます。
洗いすぎは問題
洗顔は大切ですが、逆に洗いすぎてしまうと角層が傷ついてますます刺激に弱くなったり、肌に潤いを保てなくなってしまいます。
それに前半の項目で「皮膚の常在菌のバランスが崩れることで肌の炎症が起きやすくなる」ことを述べました。
肌には常在菌がいます。
“菌”には違いありませんが、その役割として
- 外的刺激から守ってくれる
- 黄色ブドウ球菌の増殖を防いでくれる
- 肌を弱酸性に保たせる
- 肌のバリア機能を保つ
しかし
- 洗顔料を使用した洗顔を1日2回以上する
- 強すぎる洗顔料を使う
- 角質を落とすピーリングをする
すると、悪玉菌が増殖しやすくなり、今まで悪さをしてこなかった日和見菌も悪玉菌に加勢して働いてしまいます。
そうなると、さまざまな肌トラブルが起きてきます。
こうした肌の常在菌を壊さないためにも、丁寧な洗顔が必要なのです。
正しい洗顔方法
まず洗顔料や石けんをしっかり泡立てましょう。
泡立てたら、手指が直接肌に触れないように、泡で顔を包み込むように優しく洗いましょう。
皮脂が多いTゾーンや顎といった部分から洗い、乾燥しがちな目元や口元は泡を乗せる程度で洗いましょう。
そして、38~40℃程度のぬるま湯ですすぎ残しのないようにすすぎましょう。
すすいだ後は清潔なタオルで顔を押さえましょう。
優しく水気を拭き取ってください。
夜の間に肌のバリア機能というのは回復しますので、朝に洗顔をし過ぎるとせっかく得たバリア機能を再度低下してしまいかねません。
しかし、これはあくまで乾燥がひどい時です。
通常、夜では寝ている間も肌は汗や皮脂を分泌していますので、汚れていないわけではありません。
保湿
洗顔をしたらすぐ保湿をしましょう。
炎症が起きた場合にも保湿の方法を説明しましたが、こちらは「予防としての保湿方法」です。
乾燥肌の場合は刺激を与えてしまうような成分:香料や着色料、アルコールなどが含まれている物は避けて低刺激のものを選びましょう。
また、肌を効果的に潤し、バリア機能を整えてくれる効果がある成分を摂り入れてみましょう。
- スクワラン
- セラミド
- アミノ酸など
刺激物を避ける
肌の炎症の原因でも挙げたように、紫外線や花粉といった刺激物は肌に炎症を起こします。
紫外線対策として外出する際は日焼け止めクリームを塗ったり、紫外線グッズを使ったり、長袖で肌を保護しましょう。
日焼け止めクリームは汗を掻いたらこまめに塗り直しましょう。
花粉の時期もマスクを着用し、花粉の付きにくいつるつるした素材の衣類を身に着けるなどの対策をしましょう。
入浴も注意
洗顔時だけでなく、入浴の仕方も肌の炎症へは注意です。
入浴中は角層に水分が入り込み、一見潤っているように見えますが、お風呂上がりになるとお湯によってふやけてお肌の中の水分が逃げやすい状態になります。
肌表面の皮脂膜を取り過ぎないためにも、入浴中に硬いタオルで肌をゴシゴシ洗ったり、熱いお湯に長時間浸かりすぎないようにしましょう。
そして、入浴後はできるだけ早く保湿剤を塗って、水分が逃げないように蓋をしましょう。
お風呂が原因で肌荒れが!?正しい入浴方法で美肌にしましょう!
しっかり睡眠をとる
睡眠をしっかりとることはお肌の炎症の改善にもつながります。
じつはお肌のバリア機能に働きかけて、お肌の炎症を抑えてくれるのはコルチゾールという抗ストレスホルモンなんです。
このホルモンは本来、明け方にかけて活発に分泌されます。
つまり、睡眠時間が不足していると、コルチゾールの分泌量のバランスが崩れて肌荒れを起こしやすくなるのです。
それに大切なのは眠りについてから最初の90分で睡眠を深くすることです。
このときが睡眠の中で最も深く、お肌の新陳代謝に役立つ成長ホルモンが分泌されます。
入浴を就寝する90分前までに済ませ、就寝前のスマホやパソコンをできるだけ見ないようにしましょう。
これは眠気を引き起こすメラトニンの働きを邪魔しないためです。
このメラトニンがあることによって、質の高い眠りになっていくのです。
寝巻きや寝具も清潔にし、雑菌が繁殖しないようにするのも肌には大事です。
最低でもシーツを週に1~2回ほど取り換えられれば望ましいです。
肌の炎症が起きないための食生活
食事は1日3食、栄養バランスが良い献立が理想的です。
以下の栄養素を持つ食べ物を摂るようにしましょう。
タンパク質
肌や血液、筋肉や骨などの体を構成する細胞を作る基になる。
- 肉(鶏のむね肉や牛や豚のヒレなど)
- 魚(サバ、アジ、いわしなど)
- 卵
- 大豆製品
- 乳製品 など
ビタミンA
皮膚や粘膜を健康に保つ。
- 緑黄色野菜(にんじん、ほうれん草、かぼちゃなど)
- レバー など
ビタミンB群
皮膚や粘膜を健康に保つ。
- レバー
- うなぎ
- カツオ
- まぐろ
- 卵
- 納豆
- 牛乳や乳製品 など
ビタミンC
- 乾燥肌を防ぐのに必要なコラーゲンの生成を促す。
- 皮膚の老化や炎症を進める血液中の増えすぎた活性酸素を除去する。
ビタミンE
脂質の酸化を防いだり、血行を促進する。
- アーモンド
- アボカド
- 植物油(ヒマワリ油や菜種油など)
必須脂肪酸
肌や身体に必要な脂。肌の乾燥を防ぐ。
- 肉
- 魚(うなぎ、サンマなどの脂の多い種類)
- 植物油
- ゴマ
- くるみ など
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炎症を防いで乾燥肌予防を
難しい話になってしまいましたが、要は肌が乾燥するから炎症が起きているのでなく「炎症が起きているから肌が乾燥してくる」のです。
放っておくと、皮脂欠乏性湿疹や手湿疹、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患に発展してしまいます。
肌に優しいスキンケアを施し、規則正しい生活習慣や食生活で予防しましょう。
もし肌に炎症が起きてしまったら、患部を冷やして適切な保湿をし、皮膚科への受診も考えましょう。
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