手や腕、首や背中などにいつの間にか現れる、かゆみ・粉ふき・赤みなどの症状はつらいものです。
こういった症状が長く続くと常に患部が気になるようになってしまいますよね。
肌荒れに似ていますが、もしかしたら肌の乾燥が原因で現れる乾燥性湿疹かもしれません。
ここでは乾燥による乾燥性湿疹などの皮膚の病気を詳しく見ていきたいと思います。
Contents
乾燥肌の原因
人の肌には水分を保って外的刺激から体を守る「バリア機能」が備わっています。
バリア機能を担っているのが肌の一番外側にある角質層で、角質細胞と細胞間脂質によって肌の防衛機能は成り立っています。
バリア機能が働くためには肌の正常なターンオーバー(代謝)が不可欠ですが、肌はデリケートなためちょっとしたことで乱れてしまいます。
ターンオーバーが乱れると、角質層の角質細胞が不完全になったり細胞間脂質が減少したりして肌のバリア機能が低下します。

そうなると肌から水分が逃げて刺激にも弱くなり、乾燥肌・敏感肌を招くのです。
ターンオーバーが乱れる原因はこんなにも多くのことが挙げられます。
紫外線 | 紫外線は強力なエネルギーを持っており、細胞の組織を壊してしまう恐ろしい力を持っています。 中でも紫外線B波は日焼けを起こし、角質層の水分を奪っていきます。 |
睡眠不足 | 睡眠中に分泌される成長ホルモンにはターンオーバーを促す働きがあります。 睡眠不足による成長ホルモンの減少もターンオーバーは乱れてしまいます。 |
偏った食事 | 肉や魚のタンパク質、野菜や果物のビタミン・ミネラルなどが不足することも、ターンオーバーも乱れと関係があります。 また、脂ものを食べ過ぎると肌の水分・油分バランスが崩れてしまいます。 |
血行不良 | 血行不良によって肌細胞への栄養供給が滞るのも原因の1つです。 体を冷やさない・血行を促す食材を食べる・運動するなどで対処しましょう。 |
ストレス | 身体がストレスを感じると、細胞間脂質の主成分であるセラミドが減少することがわかっています。 細胞間脂質が減少するとバリア機能は低下し、乾燥へと一直線です。 |
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乾燥性湿疹とは。原因や症状

乾燥性湿疹は肌が乾燥しているところに、炎症が加わって湿疹が出てきた状態です。
「皮脂欠乏性湿疹」とも呼ばれ、名前の通り皮脂量が低下することで起きやすくなります。
多く現れるのは肘や脚の外側ですが、手や首、顔にも生じることがあります。
- 乾燥した肌に炎症が生じる
- 皮膚の表面に細かいシワができる
- 悪化して波状や網目状になり、さらに亀裂・赤み・かゆみが生じる
乾燥した肌は衣服の摩擦や風呂の温度などの刺激に弱くなり、炎症を起こしやすくなります。
さらに、炎症を起こした状態で引っ掻いたりタオルなどで擦ったりしてしまうと症状が悪化し、湿疹は治りにくくなります。
炎症の原因は他にも、アレルギーや細菌・微生物の侵入などがあります。
発症すると外的刺激に弱くなり、炎症部位がさらに広がっていくという悪循環も起こります。
しかし、乾燥肌・敏感肌やアレルギー体質の若い方や子供でも発症します。
お湯や洗剤に触れることの多い主婦・美容師・看護師なども、手の油分が流されることでバリア機能が低下して乾燥性湿疹が起こしやすいといわれています。
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乾燥性湿疹の治療法

乾燥性湿疹にはステロイド外用薬や保湿外用薬、内服薬の抗ヒスタミン剤などが処方されます。
ステロイドについては後ほど触れることにして、ここではその他の治療法を紹介します。
保湿剤を使う | 肌に潤いを与えるために使うのがワセリンなどの保湿剤です。 一日に塗る回数は決まっていませんが、朝・昼・風呂上がり・寝る前の4回は塗りたいものです。 |
肌を清潔に保つ | 肌を清潔に保つことは炎症の悪化予防になります。 汗をかいた時・入浴後・洗顔後などには清潔なタオルを使いましょう。 |
湿度を保つ | 部屋などの空気の乾燥にも注意し、理想の湿度である50%~60%を保ちましょう。 空気の換気を適度に行うことも大切です。 |
刺激を与えない | 爪を短くして肌はできるだけ搔かないようにします。 また、入浴時にはナイロンタオルや硬いスポンジを使うのではなくて、石鹸をよく泡立てて手で撫でるように優しく洗いましょう。 |
規則正しい生活 | 十分な睡眠とバランスの良い食事を摂りましょう。 香辛料などの刺激の強いものは、摂りすぎるとかゆみに繋がるので注意しましょう。 |
特に不規則な生活を続けると肌のバリア機能が著しく乱れ、肌が敏感な状態になってしまいます。
ひどい乾燥性湿疹になると治療にも時間がかかるため、根気よく続けていく必要があります。
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乾燥性湿疹と似ている乾燥から来る病気
皮膚疾患では乾燥性湿疹と似ている、乾燥からくる病気が他にも多くあります。
ここでは他の乾燥性の皮膚疾患も紹介していきます。
魚鱗癬(ぎょりんせん)

重度の皮膚の乾燥により、皮膚に鱗状のくずが多く生じる疾患です。
鱗くずは細かいこともあれば大きくイボ状になることがあり、発症部位も手のひらや足の裏といった一部の場合から、ひどい場合は全身に及ぶこともあります。
魚鱗癬には遺伝性のものと後天性のものがあります。
遺伝性魚鱗癬と後天性魚鱗癬
最も多いケースは遺伝性魚鱗癬という、遺伝子変異が原因で発症するものです。
こちらは出生時・乳児期・小児期に発生することが多いといわれます。
一方の後天性魚鱗癬は成人してから発症します。
こちらは甲状腺機能低下症・リンパ腫・エイズなどの病気が発端となることがほとんどですが、一部の薬の副作用によるケースも報告されています。
魚鱗癬の治療法
遺伝性・後天性のいずれの場合も保湿剤を使って肌の乾燥を避けるのが基本です。
保湿剤の効果がもっとも出やすい入浴後すぐに、肌が乾燥する前に塗ります。
加えて遺伝性魚鱗癬は、トレチノイン・経口イソトレチノイン・経口アシトレチンといったビタミンA関連の物質を含んだクリーム剤や錠剤を用います。
これは皮膚から大量の鱗くずを落とすのに有効だといわれます。
後天性魚鱗癬は原因となっている疾患を治療する・原因となる薬を中止することで対処します。
また、細菌感染症を伴う場合は抗菌薬を内服することもあります。
アトピー性皮膚炎

アトピーと聞くと子供の皮膚炎のイメージですが、大人でも発症します。
アトピー性皮膚炎の原因
アトピー性皮膚炎は乾燥肌によるバリア機能の低下に加えてアレルギー体質が関わってきます。
バリア機能の低下とアレルギー体質の2つが揃った体質はアトピー体質と呼ばれます。
こういった要因で防御力が低下している肌に、アレルギー的悪化誘因・非アレルギー悪化誘因が重なることで発症する皮膚炎が、アトピー性皮膚炎に区分けされます。
- 食物
- ダニ
- ハウスダスト
- 花粉
- 動物の毛やフケ
- 洗剤や化粧品 など
- 乾燥
- 摩擦
- 発汗
- 寝不足
- 過労
- ストレス など
アトピー性皮膚炎の症状と治療法
アトピー性皮膚炎は、特徴的な湿疹とかゆみを繰り返すという点に特徴があります。
アトピー性皮膚炎の湿疹の特徴がこちらです。
- 湿疹に赤みがある
- プツプツ盛り上がっている
- ジクジクと水分が多い
患部を繰り返し掻いていると大豆大の痕が残ることもあるため、正しく治療する必要があります。
治療には保湿剤・軟膏・内服薬を用います。
- 保湿剤:白色ワセリン、ヒルドイドソフト など
- 軟膏:ステロイド軟膏 など
- 内服薬:抗ヒスタミン作用のあるかゆみ止め など
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治療に使われているステロイド外用薬の効果と副作用

ここでは皮膚疾患の治療に不可欠なステロイド外用薬について、効果や副作用を見ていきます。
ステロイド外用薬の効果
ステロイド外用薬は、ステロイドホルモンにさまざまな基剤を混ぜたものです。
ステロイドホルモンは副腎皮質ホルモンの1つで、薬としては以下のような働きをします。
- 抗炎症作用
炎症を促す物質の発生を抑えます。 - 細胞増殖抑制作用
炎症反応を起こす細胞の増殖を抑えます。
- 血管収縮作用
炎症部の血管を収縮させて赤みを抑えます。 - 免疫抑制作用
過剰に起こっている免疫反応を抑制します。
ステロイド外用薬は塗る部分によって吸収率も違います。
患部の吸収率に応じて強さが異なるものを使い分ける必要もあります。
ステロイド外用薬の副作用
ステロイドを外用薬として使用した場合、局所的副作用というのが発生することがあります。
副作用は用法を守らない・効果の外用薬を吸収率の高い部位に塗るといったときに生じやすいです。
- 皮膚が薄くなったり弱くなったりする
- 毛細血管が拡張する
- メラニン色素が少なくなって皮膚が白っぽくなる
- 産毛が太くなる
- 水虫やカンジダなどを起こすカビ菌がつきやすくなる
- ステロイドを使ったことでニキビが出てくる
しかしながら、これらの副作用のほとんどは一過性で正しい治療をすれば良くなります。
また、皮膚の炎症が治まってくると肌が黒っぽくなることもありますが、これはステロイド外用剤と無関係です。
全身に副作用が現れる可能性もありますが、発生することは非常にまれだと言われています。
いずれにしても正しい用法・用量を守ることが大切です。
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バリア機能を守ることは肌の健康を守ること
今回は乾燥によっておこる乾燥性湿疹やその他の病気などを見てきました。
乾燥性湿疹は乾燥肌が進行して、そこに炎症が生じることで湿疹になったものでした。
乾燥による炎症として代表的なものにはアレルギー皮膚炎もありました。
進行するとひどいかゆみで日常生活にも支障が出ることもあるため、保湿によるケアで症状を改善していきましょう。
炎症を止めるためのステロイドなどは強力な効果があり、副作用の心配もあります。
医師の処方のもと正しく使ってリスクを減らしましょう。
何よりもまずは正しい保湿ケアで乾燥肌を予防することです。
肌のバリア機能を守ることで肌の健康も守りましょう。
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