欧米諸国では日焼けできるのはバカンスに行ける富裕層というイメージが残っているらしく、白い肌は貧しい証とされており、欧米諸国から見た日本人は肌の白さを守るための独特の美容文化を持っている不思議な人たちと思われているようです。
そんな我々日本人ですが、本当に美白ができているのでしょうか。
今回は単純に肌を白くするだけでは終わらない、落とし穴もある美白成分について紹介致します。
美白成分とは
そもそも美白成分とは肌を白くする作用を持つ成分ではなく、主に肌が黒くなるのを抑えたり、止める成分、または黒くなった肌を薄くするための様々な成分と言えます。
美白成分の作用は肌を黒く見せるメラニン色素と肌の新陳代謝(ターンオーバー)の機能の2点への働きかけが中心であるためです。
肌が黒くなる原因と美白効果の定義
メラニン色素は赤い色の系統と黒い色の系統の2種類が存在し、黒い色の系統のメラニン色素が肌内部で広がった影響が肌の黒さとして出てきます。
そのため肌が黒くなっていき、一度広がったメラニン色素は体内で分解される、または古い表皮と共に体外に排出されるまで肌や皮膚に留まり続けます。
このメラニン色素の広がりを止めることで美白効果を肌に対して維持することが可能です。
蓄積量が増えるごとに色素の濃さが増していくため、溜まった分を排出していくことにより、色が薄く白くなっていくのに加え、メラニンの方は他の成分の効果により色素を薄めることができます。
ビタミンCの還元効果などメラニン自体を薄める、脱色してしまうことで肌の色を徐々に白くすることができます。
このことから美白成分はメラニンを出にくくしたり、止めてしまう、メラニン自体を脱色する、またはメラニン色素が発生することによって濃くなった肌の部位のメラニン色素を排出するよう体に働きかけます。
この効果のことを美白効果と呼びます。
一口に美白効果といっても様々な成分があり、一つ一つの効果が違うため共通しやすい作用を以下にまとめました。
美白成分のいろいろな効果
紫外線による黒化メラニン生合成の抑制・阻害効果

紫外線で肌が黒くなる過程は、まずメラニンが紫外線を浴びた肌に活性酸素が発生し、活性酸素が出た情報が情報伝達物質を通じてメラニンを作る細胞であるメラノサイトに伝達されます。
その後、そのメラノサイト内で様々な酵素や成分が合成され2種類のメラニンとなり、メラニンがメラノサイトを通じ、肌内部に広がることで肌が黒くなります。
上記の過程から、最初の段階である活性酸素を発生させないことで肌を黒くする元のメラニン色素を抑える効果を持つ成分を美白成分と呼びます。
他にも、情報伝達物質やメラニンを合成するために必要な酵素を抑制・阻害するタイプの美白成分も存在します。
本来はUVケアにも分類できますが、メラニン発生を初期で食い止める重要度の高いポイントとして美白成分にカテゴライズされています。
ストレスによる黒化メラニン生合成の抑制・阻害効果
ストレスから体を守るステロイドホルモンには抗炎症作用、免疫の抑制、新陳代謝の活性化などの効果も持ち合わせています。
これらの人体の機能の活性化の影響により誤ってメラニンが作られることで、新陳代謝の良さからメラニンが増えて段々と肌が黒くなる原因となります。
ステロイドホルモンはホルモン操作・管理を行うホルモンである副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)に関係しているため、こちらを抑える効果を持つ成分のことを指します。
その他の黒化メラニンに対する効果
メラニンは作られた後にメラノソームという細胞に貯蔵され、メラノサイトの触手部分であるデントライトを通って肌に排出されます。
これは皮膚に発生したメラニンを肌に取り込ませないようにデントライト部分で抑え、抑制する成分を指します。
肌の新陳代謝は遅れるなど不安定な状態だとメラニンを溜める原因になるので、活性化させるのも美白の一つだと言えます。
また、メラノサイト自身もメラニンが残ってしまい色素沈着を起こすことがあるので新陳代謝を進めて排出してしまうのが効果的とされています。
すでに皮膚に発生したメラニンに働きかけて色素を薄くする、またはメラニンの脱色もこの淡色化の分類にあてはまります。
シミ、くすみなどメラニンの影響が出た部位に対し、肌表面に塗るクリームタイプや肌内部に浸透する美容液タイプなどが存在します。
メラノサイトの破壊、機能停止効果
メラニンを生み出す細部であるメラノサイト自体を止めてしまう効果から医薬品として使われるものが多く、成分によっては数週間で機能が復活するものから、一生メラニンが発生しなくなる程の強力なものまで存在します。
大まかに分類し、この6種類が成分の主な作用となります。
現在の美白成分はメラニン生合成の過程で使われるチロシナーゼという酵素を抑制・阻害する成分が主流となっていますが、上記の作用を単体または複数使用した商品もあります。
肌を白くすると一言で言ってもどこに何で働きかけるかで、使い方や使える場所など成分ごとの様々な違いがあります。
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注意が必要な成分・ハイドロキノンについて

効果別に様々なタイプがある美白成分ですが、中には使用するにあたって注意が必要な成分も存在します。
ハイドロキノン(ヒドロキノン)
ハイドロキノンはメラニン色素の産出を抑える効果とメラノサイトそのものを減少させる効果を持ち、シミや色素沈着の治療薬であり、ビタミンCやアルブチンといった美白成分の10~100倍の効果を持つことから肌の漂白剤とも呼ばれています。
美白成分で名前の挙がるハイドロキノンは医療分野での処方など正式に使用が認められている成分であり、安定型が出るなど改良されている成分でもあります。
ハイドロキノンを使用するにあたっての注意点
ですが、ハイドロキノンは元々不安定な成分の為、適切に管理しないと酸化して効力が落ちるなど状態が変わりやすく肌トラブルになる可能性があります。
非常に強い成分の為、少量でも肌に合わず炎症や赤みを引き起こすことがあり、その場合、すぐに使用を中止し、皮膚科の受診を推奨されている成分です。
1年以上の長期使用や6%以上の高濃度の成分入りを使用すると肌トラブルになりやすいため、医師への相談の推奨と使用法を守ることが厳守されているなど、強力な効果を持っています。
低い濃度から試してみる必要があるなど扱いの難しい成分となっていますので、使用には十分注意を払うべきです。
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ハイドロキノンモノベンジルエーテル

次はハイドロキノンモノベンジルエーテル、またの名をモノベンゾンです。
ハイドロキノンと似た名前ではありますが、より強力で刺激の強い成分です。
この成分の概要
この成分はアメリカで承認された尋常性白斑の皮膚、すなわちメラノサイトが消失あるいは機能停止状態の肌へと用いる医薬品として扱われています。
日本では、1957年に使用した人の肌の色素が抜けて斑になる等の案件が多発したため、美容製品または医薬品への配合を禁止された過去があります。
効果と注意点
モノベンゾンの作用として、メラノサイトの破壊による不可逆的な脱色、つまり、一生メラニンが作られない肌にする効果があります。
副作用に使用した部分以外の離れたところの色素も抜けてしまうこともあり、メラニンが作られないため紫外線に弱く、発がん率が上昇するリスクを持ち合わせております。
強力な脱色のためにハイドロキノンと同時に使用すると急性皮膚炎になる可能性が高いとして、併用が禁止されています。
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まさかの成分が肌荒れを引き起こすことも

最後はビタミンCについてです。
まさかと思う方がいるでしょうが、ゆず湯などに入ったことがある方は肌がピリピリする感覚を想像してもらえれば分かりやすいかと思われます。
ビタミンCの危険性の理由
ビタミンC自体はph2付近のかなり強い酸性物質のため、肌荒れや炎症の元となり人間にとって相当な刺激物といえます。
ビタミンCの持つ還元作用は黒色メラニンを薄くすることが出来ますが、成分の還元性が強いほど肌への刺激も強くなってしまいます。
そもそもが経皮吸収性が弱い成分のため、ビタミンCが高濃度であっても肌の奥に届きにくいのに加え、酸化しやすい性質も持つため効果が劣化しやすい注意点もあります。
肌質がドライ気味の方は皮脂量が減ることから乾燥が悪化し、刺激に敏感な肌になる可能性があります。
ビタミンCのイメージと実際の効果
ビタミンCと言えばコラーゲンの生成に必要とされ、メラニンの生成を抑制し還元効果で色を薄くする、抗酸化力で活性酸素の発生を抑えてくれるなど美白に欠かせない存在となっています。
しかし、元が刺激物であることや肌に浸透しにくい点は理解したうえで使用するべきです。
副作用がないという意見を見ますが、化粧水や乳液でカバーできるほど小規模の炎症等なので気づかない方が多いという情報もあります。
けれども、小さなダメージでも時間が経過することで、シミやくすみの元になるので自分の肌に合っているかチェックをしてから使用することをお勧め致します。
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美白成分は目的をもって選ぶこと
美白化粧品について様々な意見を見ますが、肌には皮脂などのバリア機能が存在しているため通常の美白化粧品では肌内部に浸透しにくいと言われています。
なので、強力な美白化粧品ほど美白成分を無理やり内部に浸透させて、その過程で防腐剤や酸化防止剤など肌に悪影響を及ぼす成分も一緒に肌細胞内に入れてしまうと言われています。
効力と危険性は比例するようなのでシミやくすみを消そうとして逆に悪化する等がないように、美白成分を使うときは必ず成分ごとにメラニンや肌に対して働きかけが違うので目的をもって選び、肌への影響と副作用を確認しておきましょう。
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