お顔のシワやたるみから年齢以上に自分が老けてしまっていると、感じている方も少なくないと思います。
そんな悩みを解決してくれるのがヒアルロン酸注射ではないでしょうか。
しかし、この注射も良いことばかりとは言えないようです。
安心してこの注射をしていただくために、メリット、デメリットを見ていきたいと思います。
ヒアルロン酸注射とは
「ヒアルロン酸注射で以前よりも若々しく見えます。」というフレーズをどこかの宣伝で見た気がしますが本当でしょうか。
実際の効果は試した人しかわかりませんが、ヒアルロン酸自体は美容関係だけでなく、膝軟骨の治療にも活用される成分なので身体に影響を与えるのは確かなようです。
では、注射により本当に若々しく見えるのか、治療にリスクはあるかを紹介してみたいと思います。
- 美容分野では皮膚充填剤または注入剤(フィラー)といわれ、肌のしわの溝を盛り上げて目立たなくする、こけた頬などのへこみを膨らませる等の治療法に使われる。
- 整形外科ではヒザの軟骨の減少と共に動きにくさや痛みが出てくるため、症状を和らげるために間接内に直接注入する形で使用される。
”ヒアルロン酸=美容”のイメージを持つ方もいると思いますが、医療分野でもヒアルロン酸の持つ性質を生かした治療法を行っています。
- 人間の身体に存在する皮膚や筋肉、軟骨を構成する主成分で、特にコラーゲン、エラスチンと共に肌を構成する主成分である。
肌質に関係し、20代後半から加齢とともに減少していく。 - 細胞の間に存在して細胞をくっつけ合い、勝手に離れないよう固定する結合組織の主成分、簡単に言えば細胞の接着剤です。
- 1グラムで6リットルの吸水力があるとされ、皮膚の乾燥を防ぐ天然の保湿剤や水分保持剤の役割がある。
- 水分を含むとネバネバする性質があり、肌細胞の隙間を埋めてハリや弾力を持たせることができる。
(細胞組織の保護、関節の摩耗をなくす緩衝材の効果もある)
では、ヒアルロン酸の性質がどうして若々しさにつながるのかというと、美容分野の使い方である肌を持ち上げる治療法が関係しています。
- ヒアルロン酸を目じりのシワ等に沿って注射し、シワの線を目立ちにくいように改善していく治療
- 鼻や頬など凹んだ部位や高くしたい部位の皮膚の下に注入し、顔に膨らみを持たせるボリュームアップ治療
- 顔全体のバランスを意識して注入し、顔にハリと弾力を持たせてたるみを引き上げるリフトアップ治療
シワを目立ちにくくし、たるみを引き上げることで老け顔の要素を改善する治療や、ボリュームアップによるふっくらとした健康的な肌を作ることもできるので、注射を行うことで印象がガラリと変わる方もいます。
見た目の変化は人のイメージの変化にもつながるので、シワやたるみのない肌、ハリと弾力を持った肌が与える影響は、周囲だけでなく自分にも若々しさを感じさせてくれるのだと思います。
アレルギー反応はおこるのか
まず、アレルギー反応(過敏反応)とは、”通常は無害な物質に対して免疫系が異常な反応をすること”を指し、注射した後の痒みや腫れもその一つです。
- ヒアルロン酸は体内に存在する「多糖類」の一種であるためアレルギーになることはなく、代謝により体に吸収されてなくなる安全な成分である。
人間の体に存在する成分のため馴染みやすく、アレルギー反応も稀で収まりやすいと言われている。 - 効果を持続させる成分など、ヒアルロン酸以外の成分がアレルギーの元になっている。
(特に製剤内の酸化物、ヒアルロン酸の構造に係わる架橋剤が元になりやすい。) - 他、注入場所の誤りやヒアルロン酸の選択ミスにより、身体が過剰に反応する場合もある。
しかし、長持ちさせようと混ぜ物をするとアレルギーが出やすくなる欠点を持ちます。
また、打つ場所や種類を間違えても体はヒアルロン酸を異物として排除しようとするため人によっては強いアレルギー反応も出てしまいます。
元々が無害に近いとはいえ、適切なものを必要な部位に使うことでアレルギーが出る可能性をグンと減らせるのです。
※ちなみに、同じく注入に使われるコラーゲンは動物由来のものを使用している事もあるため、アレルギーの確認を行うことが多いです。
(そのため最近ではヒト由来のコラーゲンを使用しているところもあります。)
対して、ヒアルロン酸は非動物性由来が主流のためアレルギーになる確率がかなり低いといわれています。
製薬会社によるヒアルロン酸の違い
正直な話、ヒアルロン酸に違いなどあるのかと思う方もいるといるでしょうが、第5世代型と言われるタイプが出るほど研究が重ねられ、各製薬会社ごとに様々な効果と安全性を高める工夫があります。
その中でもよく名前が挙がるものをいくつか最新型を含めて、簡単に違いを紹介して見たいと思います。
「レスチレン」 ガルデルマ社製 ‐ スウェーデン
★中程度~重度のしわ、顔面の整容に対応、顔のパーツごとに使用する製剤を分けています。
品質保証の欧州CEマークが認められ、米国FDA(アメリカ食品医薬品局)において最初に安全性を承認された”第2世代型”ヒアルロン酸です。
世界中で長年使用されているヒアルロン酸のベーシックタイプといえる製剤で、日本でも正式に使用を認可されています。
「ジュビダームビスタ」 アラガン社製 ‐ フランス
★軽~重度の顔面のしわや溝の修正に対応、ボリュームアップ用や麻酔入りなど数種類あります。
日本で初めて国内で製造販売を承認された”第3世代型”ヒアルロン酸製剤です。
均一な押し出し特性を持ち、顆粒感のないなめらかで均質な材質のため凸凹のない自然な仕上がりになりやすいです。
分解されにくい構造を持つヒアルロン酸を使用しているため約1年以上治療効果が続きます。
「ベロテロ(エセリス)」 メルツ社製 ‐ ドイツ
★軽度用のベロテロソフト、中程度用のベロテロバランスなどシリーズごとの使い分けで部位ごとに対応可能です。
米国FDAの承認を取得した微粒子もない完全に均一な新タイプの”第4世代型”ヒアルロン酸です。
皮膚への馴染みが良く、細胞を傷つけずに隙間を埋めてくれるため目元など治療が行いにくい部位にも対応が可能、腫れなどを抑えつつ自然な仕上がりを実現できます。
高い粘性が成分の拡散を防ぎつつも吸収スピードをゆるやかにするため約1~2年効果が持続します。
「スタイレージ」 ビバシー社製 ‐ フランス
★ヒアルロン酸の硬さにより顔面ほぼ全部位対応。他、唇用のスペシャルリップス、リフトアップ用のハイドロ等あります。
欧州CEマークを取得した”柔らかい(注入しやすい)のに持ちがいい(長期間効果あり)”といわれているなめらかで保水力の高い”第5世代”ヒアルロン酸です。
※従来品では注入しやすいタイプは半年程で効果が切れ、注入しにくいものは長持ちが多かったため両方の良い部分を取り入れ改善したものとして注目されています。
細い針での注射が可能な柔らかいジェル状に仕上げているため、どの部位に対しても注入しやすく自然な仕上がりを実現しやすくなりました。
糖質を利用した抗酸化剤配合により、安全性を高めながらも注入時の肌の酸化予防(赤みなどを抑える効果)とヒアルロン酸の分解を遅らせる効果を付与しています。
ざっくりとした説明ですが、ヒアルロン酸と一言でいっても製剤ごとに効果や用途の違いがあることがわかります。
もちろん上記以外にも様々な注入剤がありますが、第2世代を基準として様々な発展をしているため数多くの種類が存在します。
当然、中には自分との相性が悪い製剤もあるため、医師と相談するなど余計なリスクを負わない選び方が必要です。
アレルギー以外のリスク
最後に、ヒアルロン酸注射において避けられない話題として、治療後のリスクについて紹介します。
均一に注入できずにダマ状になり、凸凹してより目立ってしまうことがあります。
注入しても思ったように膨らみが出ないのです。
また、同じ部位に注入するとしこりになることがあります。
定期的に再注入を行う必要があるが、製剤ごとに持続期間が違うため間違えると顔のバランスを崩す原因となります。
注入の失敗
一つ目は注入の失敗で起こる事です。
注入場所の誤りやヒアルロン酸の選択ミスにより、思い通りの変化を得られず逆にシワなどが目立ってしまうのです。
また、使用する製剤によっては再注入に3か月以上の差が出てくるので、入れ忘れから効果切れの部分だけ凹みが出てしまうなど見た目の大きな変化にもつながります。
ただし、これだけならばヒアルロン酸を溶かす薬(ヒアルロニターゼ)があるので解消は困難ではありませんが、余分な成分の多いヒアルロン酸は残留物が残りやすいと言われているため、思ったようにキレイに戻せない可能性があります。
- 間違って血管に注射をされてしまうことがあり、大量のヒアルロン酸を注入してしまうことがある
- 皮膚の張りすぎによる血管の圧迫や、ヒアルロン酸が血管を塞ぎとめることで血行不良になり、表面の皮膚が壊死してしまうこともある
- 涙袋など目の付近の治療の場合、視覚障害や失明の危険性もある
大抵は医師の技術不足が原因であり、安全性よりも値段や速さなどを重視して治療を受けてしまったための事故とも言えます。
どこでもいいと安易に考えず、一軒一軒しっかりと情報集めをしてから治療を受けましょう。
注入の副作用など
粘度が高いものは注入しづらいため少し太い針を使います。
肌の下に打ち込むときに結構な痛みを伴いやすいため、特殊な針や麻酔を用意しているクリニックも多いです。
ここではヒアルロン酸を打ち込んだ時に起きる副作用を挙げてみました。
- 注入部に内出血が出来ることがあります 。
特に、治療当日中の飲酒や激しい運動を行うと内出血のリスクが上がり、仕上がりが変化してしまうことがあります。 - 注入した部分のヒアルロン酸が水分を吸収して青っぽくなり、水っぽい肌になることがあります。(チンダル現象とよばれている)
- 注入剤が神経を圧迫して痛みが出ることがあり、必要に応じて痛み止めが処方されることがあります。
- 注入の際の注意として、アレルギー反応と共に起こりやすいのが内出血です。
通常ならば1~2週間で消えるようですが、場所によっては別の可能性もあるようです。
特に、鼻や眉間等に注入した際の赤みや腫れの持続は注意しましょう。 - アレルギーの他に血管を塞いでしまっている可能性があるため、必ず治療効果のチェックを受けて副作用が出ていないか確認しましょう。
※ちなみに、水っぽい肌になる現象はヒアルロン酸の吸水性が良すぎるため起きやすいようです。
製剤によって対策が取られているものもある他、目元など変化が大きく出る部分はコラーゲンを使用することで対策しているところもあります。
ヒアルロン酸についていかがでしたか
”見た目の変化は心の変化”、シワやたるみのない顔や肌にハリや弾力が戻ることで、若々しさと共に活気が出てくる方もいます。
健康に見える事もそうですが、心の明るさと活発さも若々しさを感じられる要素と言えます。
しかし、簡単に状態を変えることは難しいため、そういった顔面にできた悩みを改善する手段としてヒアルロン酸注射は利用されています。
基本的にアレルギーもなく安全とされていますが、以下の事を気を付ける必要があります。
どこでもいい訳ではないです。
注射を受けに行く場所の評判や実績など、医師やクリニックの情報は仕入れておきましょう。
失敗した場合のリスクを負うのは自分ですので、後悔先に立たずなので念入りに調べておきましょう。
なんでも使えるわけではないです。
製剤ごとに配合成分が違うため、安全性が高いものでもアレルギーや副作用が起こる可能性があり、ヒアルロン酸の種類によっては使い方を間違えると効果が出ない、出すぎることもありえます。
治療後はチェックを必ず受けましょう。
1~2週間以上の赤みや腫れの持続は、アレルギー反応や血行不良の可能性あり、最悪の場合、皮膚表面の壊死や神経障害、失明になってしまうケースもあるため早めの受診が必要です。
ヒアルロン酸自体の安全性があっても、それを扱う人次第で事故に繋がりますし、受ける方も”自分には起きない”と油断しないほうが賢明だと思います。
なので、”安全性を第一に考えているか”、”カウンセリングに力を入れているか”、”アフターフォローは万全なのか”など十分に確認したうえで受けることをお勧めします。
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